MAC Corporation > M.C.B. > Magazines > ブラストライブ Vol.14 「美味しい低音。」

(株)三栄書房
「ブラストライブ」 2009 Vol.14 (定価 952円 + 税)、
「美味しい低音。」でBrasspire 992t テナーサックスが紹介されました。
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かずだいさん、新発見!
ラッカーで結果的に低音域増強!


テナーサックスがなんで「低音」特集にまぎれこんでいるの?
  そう思われた方もいらっしゃる…かも。でも考えてみれば、サックス・トライブ(種族)の中ではソプラニーノ、ソプラノ&アルトを「高音部族」とすれば、テナーとバリトン、そしてチューバックスというあたりは立派な「低音部族」なのである。
  さて。大胆なパワーと細心&最新のテクニックを誇るファンクオーケストラ「T.P.O.」や、まったく同じ形容がぴったりのサックス四重奏団「クアドラ」等で活躍する武田和大氏(愛称「かずだい」さん)から編集長の携帯に緊急連絡が入った。
「まだ内緒なんだけど、大発見をしたから遊びに来てよ」
  こう誘われたら、行かずにはおれまい。呼び出された場所は池袋のオシャレなライヴハウス「インディペンデント」。
  なんと!かずだいさん、こんな楽器を持って待ち構えていた。あれ?その楽器、どこのですか?
「シーッ!まだ極秘なんだけど、以前本誌でご紹介した《ブラスパイア》の試作品。これの開発中に事件があったんです」
  科学的実証はこれからだが、われらが「かずだい」兄貴は未知の体験に驚愕した。ラッカー塗装の有無や素材によって思いの外大きく音色が変わる。つまり倍音構成が変化するが、特に「中低域」に佳い結果をもたらす!という感触をもったそうだ。
「最低音域を鳴らしやすくなるってことでなく、基音に近い帯域が結果的に力強く前に出るようになる。初号器はノンラッカーでした。軽やか
で吹いていて楽しくなる自由な吹き心地は素晴らしかったが、今ひとつゴリっとしたパワーに欠けてました。明るく華やかだけど超高域の倍音成分が勝ち過ぎて、全体のバランスとしては芯が弱いという印象でした。そこである手法でラッカーをかけてもらったら大成功!高い倍音が適度に押さえられ音の芯がしっかり出ました。音程感もクッキリ。抵抗感も程よく足され、たっぷりの息もしっかり受け止めてくれる。結果的にマイルドかつゴージャス。ピアニシモもよく響く絶妙なバランス。全音域に渡って。もちろん音程や操作性など基本性能にもこだわり抜きました。キー配置はもう最高!」
  低音というとどうしても五線譜の下の方とイメージしがちだが、この場合は倍音構成のうち下の方ということ。
「この《低音》成分がたっぷりしてないと、テナーだかアルトだか判らない響きになってしまいがち。ごくわずかな厚みのラッカーが音色や吹き心地に影響するのはよく知られています。私はノンラッカー派ですが、楽器によってはラッカーがこれ程良い効果を産むとは知らなかった。とはいえやはりノンラッカーは好きなので今後違った手法での解決策もひねり出したいし、様々なメッキ加工も楽しみです。」
  わずかな違いが「音」に現れるのは、素性が優れた楽器の証明。「美味しい低音」にこだわるなら、ひとつひとつの「 音」に含まれるこのような《低音》成分にも気を配って行きたいものだ。